Precious Plastic TANGO
もくじ
- 1 Precious Plastic TANGO
- 1.0.1 Precious Plasticはオランダ生まれの個人でできるプラスチックリサイクルプロジェクト
- 1.0.2 Open Source(オープンソース)
- 1.0.3 丹後エクスペリエンスのPrecious Plastic LABO
- 1.0.4 プラスチックはどうやってリサイクルする?
- 1.0.5 丹後でPrecious Plasticをはじめたワケ
- 1.0.6 丹後エクスペリエンス 八隅 孝治(やっさん)丹後へ移住する
- 1.0.7 自然、海が身近になってわかった『海ゴミ』の存在
- 1.0.8 誰でも楽しく参加できるビーチクリーン(海岸清掃)
- 1.0.9 新たな壁『ゴミの処分場』
- 1.0.10 ゴミ問題に向けて『Precious Plastic』を始める
- 1.0.11 『Precious Plastic』を学びに鹿児島へ
- 1.0.12 『Precious Plastic』マシンづくり
- 1.0.13 『Precious Plastic TANGO』LABOづくり

Precious Plasticはオランダ生まれの個人でできるプラスチックリサイクルプロジェクト
と、言われてもいろいろ「?」がでてくるかもしれません。
Precious Plasticは現在起きている、環境問題、中でもプラスチックゴミやプラスチック汚染に対して
自らリサイクルマシンを製作し、まちからプラスチックゴミを集め、リサイクルし、ステキなものをつくっちゃう取り組みです。
動画でみると、わかりやすいので本家Precious Plasticの動画を掲載しておきます。ワクワクする動画です!
世界中に広がっているこの斬新ですばらしいプロジェクトを、現在、丹後でも取り組んでいます!
なぜ、Precious Plasticを始めたのかは、後ほど説明します!
Open Source(オープンソース)
Precious Plasticでは、プラスチックの知識、マシンの設計図、制作方法、商品の作り方など、あらゆる情報が無料で、自由に利用することができます。
また利用者は、情報を自由に使い、編集し、より良い方法を考え、世界中に共有していくことができます。
これをOpen Source(オープンソース)と言います。
ぼくは、Precious Plasticを通じてこの言葉を初めて知りました。
丹後エクスペリエンスのPrecious Plastic LABO
丹後エクスペリエンスのお店の横の倉庫はなんとPrecious Plasticを製造するLABOになっているんです。
現在、学生さんから、企業の方がフィールドワークや研修、視察に訪れたり、
ご近所さん、こどもたちが、ふらっとLABOに立ち寄ったりして、海ゴミの問題や、プラスチックのことを知って、学べる場所になっています。

プラスチックはどうやってリサイクルする?
プラスチックってどうやってリサイクルするの?LABOに来てみて!と言いたいところですが、誰でもかんたんにわかるようにイラストにしてみました。イラストの下には説明も載っています。リサイクルというと一見難しそうですが、イラストにすると意外とカンタンに見えますね?

【拾う・集める】
Precious Plastic TANGOでは、まちから集められたプラスチックゴミ(主にペットボトルのキャップ=ポリプロピレン)や、ビーチクリーンで回収したポリプロピレンを使用しています。
【洗う・乾燥】
集めた、プラスチックごみは汚れている場合(海ゴミの場合は砂がついているので必ず)、手作業で洗います。汚れがついているとリサイクルしたときに汚れがつくのと、強度が落ちるので、ある程度キレイにします。その後、ザルの上において乾燥させます。
【色わけ】
後で、いろんな色の製品をつくるのですが、その時になるべく作りたい色が作りやすくなるように、プラスチックごみを色分けします。
【破砕(はさい)】
ここからPrecious Plasticマシンが登場します!色分けしたプラスチックごみを『シュレッダー』というマシンを使ってバラバラに破砕します。このマシンはPrecious Plasticを丹後でやろうと決め、日本で初めてPrecious Plasticを始めたダイナミックラボさんで制作方法を教えていただき、製作しました。なぜ、バラバラにするかというと、後ほどプラスチックを加熱して製品を作るのですが、製品に熱が伝わりやすくなったり、製品の仕上がりが安定します。
【成形】
Precious Plasticマシン『インジェクション』の出番です。日本語でいうと『射出成型器』と呼びます。バラバラにしたプラスチックを投入口から入れ、外からヒーターで温めます。おおよそ160度くらい(使う素材、つくるものによって温度は変わります)。プラスチックはチーズをイメージするとわかりやすいです。温めると柔らかくなり、冷やすと固まります。温めて柔らかくなったプラスチックを、金型に流し込み、好みの形に成形します。これでPrecious Plasticが完成します!
丹後でPrecious Plasticをはじめたワケ
丹後でPrecious Plasticを始めた理由や経緯を説明します。話せばながくなるのでサクッと見れる動画もあるので見てみてください。
丹後エクスペリエンス 八隅 孝治(やっさん)丹後へ移住する

自然の近くで暮らし、こどもを育てていきたい。そう思ってぼくは、消防士を辞め、丹後へ移住することにしました。
なんと今は歩いて5分で、海に行ける場所に住んでいます。気が向けばすぐに海にいって遊んだり、癒やされたり、
本当に最高の環境で、最高に幸せな場所で暮らすことができました。
自然、海が身近になってわかった『海ゴミ』の存在

よく海にいくようになって気づきはじめました。そして冬になった頃、丹後の冬は風と波が強い。
翌日、浜に行くとそこはまるで「ゴミ捨て場」のような状況でした。
「こんなにゴミが。。。なんで!?」初めて見る光景に状況がつかめず、地域の人に相談に行きました。
地域の人からの情報によると
・浜で捨てられたゴミもあるが、大変は海からやってくる
・年間を通じて海岸清掃をしているが、冬はそれにまして海ゴミがやってくる
・昔はこんなにゴミはこなかった。(少しずつたどり着くゴミの量が増えている)
「どうすればいいですか!!」と訪ねたぼくに、地域の人は
「海岸清掃に参加してみるといい。」それと
「こんな活動もあるからやってみな」とOne Hand Beach Cleanupという活動を教えてもらいました。
誰でも楽しく参加できるビーチクリーン(海岸清掃)

地域の方のアドバイス通り、早速、地元で行われる海岸清掃に参加することにしました。初めて海岸清掃をやってみた結果、気づいたこと。海岸清掃は
・海を見ながら体を動かす(ゴミ拾い)
・地域の人とコミュニケーションがとれる
・やったところがキレイいになる(当たり前)
単純に感じたのは
「海岸清掃ってめっちゃ気持ちよくて、おもしろい!!」
そして、これってSNSで呼びかけたらもっと人集まるでしょ!!って思いました。
地域でチームをつくり、「誰でも参加できる環境活動を」をモットーに海岸清掃(かっこよくビーチクリーンと呼びます)などを企画、運営していくようになりました。
新たな壁『ゴミの処分場』

ビーチクリーンに参加する側から、主催する側になって、新たな課題を知りました。
集めたゴミは後日、最終処分場へ搬送します。最終処分場は山にあり、海ゴミはそのまま山に埋め立てられています。
理由はその量、種類、そして不純物の付着によって現状では分別したり、リサイクルすることが困難だからです。
ぼくのまちの最終処分場はあと2年で満杯になると言われていて、満杯になれば、また新たに山が処分場へと生まれ変わって行きます。
自然というのは人間が想像もつかないような素晴らしいシステムによって循環しています。
そこに人工的なものを入れたり、突然破壊したりすると、簡単に自然のシステムは崩壊します。
海からの水が水蒸気となり雲になって、雨となって山に降り注ぎます。
山ではいろいろな生物、植物が土を作り、降り注いだ雨は土の栄養をもらって、川に注ぎ、やがて海に注ぎます。
栄養を含んだ水は川や、海の生き物をまた育んでくれます。
そのように山、川、海、生き物がバランスを保ちながら共存しています。
そう簡単に人が壊してはいけないものなのですが、今、この処分場の問題も世界各地で同じことが起こっています。
100年後、200年後、丹後やその他の日本の山、世界の山はこのままだとどんどんゴミ山と化していきます。
ゴミ問題に向けて『Precious Plastic』を始める

ゴミ処理場の問題を知り、またどうすればよいか悩んでいたところ
とある人から『Precious Plastic』という取り組みを教えてもらいました。
Precious Plasticはオランダ生まれのプロジェクトで、自作のマシンを使ってプラスチックをリサイクルし
ゴミをステキなものに変えたり、収益を生む事業を作ったり、教育として活用していく取り組みです。
しかもそのプロジェクトはopen source(オープンソース)といって
マシンの作り方、プラスチックの知識やリサイクル方法、商品の設計の仕方など
インターネット上に情報が無料で公開され、自由に使用することができるようになっています。
『Precious Plastic』を学びに鹿児島へ

「Precious Plasticをやれば、ゴミ問題はなんとかなるんじゃないか!」
そう思い、日本で初めてPrecious Plasticが始まった場所、鹿児島県の『ダイナミックラボ』に行くことにしました。
ダイナミックラボを作ったテンダーさんに会い、FAB LABOのことやPrecious Plasticのことをいろいろ見て、体験させてもらいました。
結果、「丹後でもPrecious Plasticやりたい!!テンダーさんマシン売って下さい!!」と言うと
「それだけ海ゴミに思いがあるなら、マシンは絶対自分で作ったほうがいい、来月にでももう一度鹿児島にきてマシンをつくらないか?」と言われました。
Precious Plasticはとても魅力的なプロジェクトでマシンを見ていてもワクワクが止まりませんでした。
ただし、今まで木工のDIYですら怪しかったぼくに、鉄工や機械、電気を使用するPrecious Plasticマシンは作れるのか?
いろんな不安はありましたが、思い切って翌月テンダーさんのもとへPrecious Plasticマシン製作を教わることにしました。
『Precious Plastic』マシンづくり

ライナミックラボでのマシンづくりが始まりました。
最初の2日間はマシンづくりでは必須となる『鉄工技術』を学びました。
鉄の特性を学び、道具を使って鉄を切ったり、削ったり、平面をつくったり
また、0.1mmを測ったり、先を引いたり(けがき、けがく)と言います。
機械を使って、穴を開けた後、そこにネジの溝を切ったり(タップ、ダイスによるねじ立て)
毎日が初体験で面白いのと、同時にあたまがパンパンになっていました。
基礎知識と技術をなんとか手に入れ、3日目からはマシンを製作に取り掛かりました。
最初に作ったのはシュレッダー(破砕機)です。マシンのパーツをヤスリで削って微調整したり、
マシンを固定するための穴を正確な位置に開けて行きました。
そして、ここからも難関が、「溶接」です。溶接機を使って鉄どうしをひっつけます。
これは言葉では表現しにくいのですが、奥が深くて難しい!これからPrecious Plasticをしようと考えている方に伝えられることは
「溶接はとくかく練習だ!」ということ。練習しないと感覚がつかめないし、作業が進みません。
ぼくの滞在は1週間、限られた時間の中でなんとかキレイじゃないけど、溶接作業を終え、無事マシンを完成することができました。
その模様は『ダイナミックラボ』でも紹介していただいています。
『Precious Plastic TANGO』LABOづくり

ダイナミックラボでPrecious Plasticマシンを製作したぼくは、
丹後に帰った後
丹後エクスペリエンスのレンタルの自転車を置く場所として借りていた倉庫に
Precious Plastic のマシンを製作したり、商品を作ったりするLABOを作ることにしました。
この倉庫はかつて『丹後ちりめん』の工場として使われていた場所でした。
これから、この場所が新たなものづくりや、おもしろスペースになっていくのです!